Uの忘れ物

忘れ物をしない為に 振り返ることが 今の俺にできるたった1つのこと

学生時代

趣味で詩を作っていた

 

誰から

評価される訳でもなく

ただただ

思いのままに綴る

 

もう閉鎖してしまったが、

某コミュニティゲーム内で、

スレ主となり

細々とレスをしていた

 

そのゲームは本当に

ちゃちくて

ドット絵のキャラになりきって

ダンジョンを攻略していくという

至ってシンプルなもの

国家があって

まぁ、

今で言うギルド?同士で戦って、

領土を拡大するみたいな。

その中で、

言葉だけのコミュニケーションの場が別にあった。

領土を拡大することに関心があまりない人は

ゲームそっちのけで

スレにレスすることを楽しむ人もいた。

しかし、これも

本当に言葉だけ

メールの延長みたいな

 

俺は領土拡大には興味がなく(非国民

 

3日

 

1週間と続けていくうちに、

俺の詩に

共感してくれる人が出てきた

 

最初は感想

 

いいですね

 

わかります

 

と、いう一言

 

4、5人くらいの人が反応してくれた

 

それから、

2週間が経ち、

俺の詩に対して、

詩で返してくれる人が現れた

 

この時、

20人くらいの人が反応してくれた

 

3週間が経ち、

詩で会話をするようになった

 

この時50人くらいの人が反応してくれた

 

当時はそこまで

サーバーが強くなかったからか

200レスがリミットで、

続けるには、

新たにスレを立てる必要があった

 

ありがたいことに継続してほしいという声があり、新たにスレを立ち上げた

 

この時

80人くらいの人が反応してくれた

 

俺以外にももちろんスレがある訳だが、

これまたサーバーが強くなかったからか

スレ自体も100スレがリミットだった

これは簡単に言うと、

人気のない101個目のスレはスレ主の許可なく強制的に削除される訳だ

因みにスレは課金すれば誰でも

いつでも立てることができる

当時そのコミュニティゲームはかなり人気で

参加人数は50000人くらいと言われていた(非課金者含む

そこで自分のスレを守り続けるのは

かなり厳しい

 

ということになる

 

これを守り続ける方法は、

自分がレスするか、

誰かがレスすれば、

1番上に上がることができる

 

200レスいったスレを守る方法は

199レスにして、あげては削除、

あげては削除を繰り返すことで

守ることができる

 

しかし、

そこまでして、

守るスレは滅多にない

 

さて、

本題に戻るが

 

俺のスレは

全盛期で3つのスレを管理していた。

全て詩のスレで延長しているものだった

 

そうなるとどうなるか

 

安易に想像できると思う

 

100ある貴重なスペースを

1人が3つも管理している

 

当然、叩かれる

運営からも警告が届いた

 

しかし、

俺の一存では決まらない

何故なら

そこには、

想いのこもった 詩 が詠まれているからだ

 

俺のだけならすぐに消すことはできた

しかし、

俺以外の人も

 

その時の

 

楽しい気持ち

 

嬉しい気持ち

 

切ない気持ち

 

悔しい気持ち

 

そこには

想いがあった

 

1人ではないということ

 

投稿者に誰もが

共感し慰め合い

励まし合う

 

そこには

ドラマがあった

 

飽くまで

文字だけの世界

 

シンプルでいて

でも、

そこに

人と人の繋がりを感じてた

 

それを消すなど

俺にできるわけがない

 

俺は野次馬どものバッシングや

スレ乱立て(スレ圧縮)のいやがらせ、

運営とも闘った。

 

しかし、

俺もそこまで強くない

 

くたくたになってしまった

 

そんな、

ある日

 

とうとう

運営より

アカウントを抹消され

強制排除された

 

皆の想いの詰まったスレを

俺はスレ主として

守ることができなかった

 

無責任に

誰にも何も言えずに

俺は あの世界から消えた

 

それから、

1年くらいが経ったある日

友人の1人が

面白いゲームがあるから紹介すると言ってきた

話によると

コミュニティゲームとのこと…

俺の脳裏に当時のことが蘇った

俺は遠慮しとくと言った

 

そして、

友人が口にした

コミュニティゲームの名は

まさに、それだった

 

忌まわしき過去だ

 

俺は友人に

すまんが無理だ と言った

 

しかし、

友人は

呑気な顔で全然諦めようとしない

 

いらいらし始めた時だった

 

友人から

 

「お前、以前、詩かいてたろ?

お前が好きそうな面白いスレがあってさ…」

 

 

その後、

友人がなんと言ったか聞き取れなかった

 

ここまで

残酷か と…

 

友人が携帯(今で言うガラケー)の画面をおもむろに見せてきた

 

!?

 

俺は目を疑った

 

俺の立てたスレが残っていた

 

友人は

「俺は途中から参加したからよく分からないんだけど、元々3つあったらしくて、2つ目と3つ目は流された(100番目以降に押し出された)らしいんだけど、最初にスレ主が立てた1つ目は、色々な人が協力して、このスレは残そうって常に上げてるんだってさ。てか、スレ主が消えてスレだけが1人歩きしてる状態で…」

 

訳が分からなかった

 

嘘だろ…

 

なんとも言えない感情が込み上げてきた

 

苦しいような

痛いような

嬉しいような

逃げたいような

でも…

 

俺の立てたスレが残ってる…

俺が消えた後も

誰かが俺のスレを守ってくれてた…

 

そんなことがあるだろうか

 

言葉だけの世界で

ここまで

人を感じられるだろうか

繋がりを

温もりを

顔も知らない

そんな人間の為に

ここまでできるだろうか

 

友人は続けた

「スレ主が誰か分からないけど、

ずっと戻ってくるのを待ってるって

いう書き込みがあるんだよね…

ほんま誰なんやろ、てか

このゲーム内でこのスレ知らん人おらんよ

マジ神、マジカリスマ

この人がこのスレ作ったから、

周りも真似し始めてさ、

スレのほとんどが詩になったわけ

で、今では運営が拡張して、

スレは流れないようになってる

ゲームのシステムを根本からひっくり返したとかすごくね?

と、いうことで、

お前も詩好きだろ?

ここなら、

お前に共感してくれる人おるんやないか?

と思って!(笑」

 

ほんと呑気な奴だ

 

呑気過ぎてほんと笑えた

 

俺は

もう一度 あの世界の住人になった

 

全く新しい自分として

アカウントが抹消されている為

カリスマ?の自分としては戻ることはできなかったが、

空白の1年に何があったのか、

その謎と軌跡を辿る為に

戻ったと言った方が正しいかもしれない

 

本当に色々な人が流れないように上げ続けてくれたそうだ

そして、

俺が消えた後、

ある1人の人の働きにより、

スレを守ることが伝播したことを知る

 

しかし、

その方は

 

「どうかこのスレを皆で守ってください」

 

という書き込みを最後に

アカウントを失っていた

 

アカウントを失っているので、

ホームにも入れず

メッセージを残すことも、

お礼を伝えることもできなかった

 

そして、

俺が復帰して、

半年後

 

そのコミュニティゲームは

サービスを終了した

 

サービス提供を終了する

1日前

 

俺は

スレに書き込んだ

 

「ただいま!

そして、今まで

守ってくれて、

本当に、ありがとう!」

 

 

 

 

その書き込みをしてから

俺は あの世界には行っていない

 

ただ

偽物だと思われても、

ちゃんと

皆にお礼を言いたかった

 

今のように

充実した機能などなく、

言葉だけの世界

 

声も性別もどんな顔なのかも

全く分からない

実態が全くない

 

でも、

画面の向こう側には

血の通った生身の心をもった人間がいる

 

それを強く感じれた

 

今はどうだろうか

 

ふと、思う

 

痛みを知ろう

 

その前に

 

想いを知ろう

 

あまりにも

 

現代は残酷だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

という