読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Uの忘れ物

忘れ物をしない為に 振り返ることが 今の俺にできるたった1つのこと

どうした…俺…

 

気まずい空気が流れた

 

クライアントは口元に手を当て

困惑しながら、どうしたらいいか

分からない様子で、

俺の目から目を離せないようだった

 

俺の異変に気付いた人たちは皆、

声を出さずにいたが、

気付かない人たちは少し遠くの方で

忙しそうにしていた

そこだけ

確実に時間は流れていた

 

えっ?

 

時間にして約5秒くらいだろうか

自分でも気付かなかった

しかし、確実に感触はあった

 

でも、あり得ない感触だった

 

桜の花びらが…

なんて

綺麗なことは

敢えて言うまい

 

頬をつたう感触が

顎下で止まった

 

理由は分かっている

クライアントの机の上にあった

1枚の入場チケット

 

何とも言えない

込み上げてくるものを

必死に堪えた

 

俺は敢えて

クライアントの目を見て

仕事に集中した

 

クライアントが

俺の話に集中していないことはすぐ分かった

口元に手を当て困惑していた

分かっていたけど

俺は続けた

目を見開いて

無意識の抵抗を続けた

やめたら

やめてしまったら

瞼を閉じてしまったら

それこそ

もう俺は

ここに戻れない

 

目をそらすな…

見続けろ

話し続けろ

考えるな

集中しろ

目の前のことに

 

 

どうして

 

考えないように

何とかしようと

しているのに

 

フォーカスが研ぎ澄まされ過ぎてあかん…

何を見ても

何を聞いても

何を食べても

ふとした香

見ず知らずの後ろ姿

見ず知らずの何気無い仕草

 などなど

 

引き金が多過ぎる…

 

車でラジオを聞けば、

同じ歳、同じ名前の別人のゲストに

動揺し追突しかける

 

テレビを見れば

ニュースで

記憶に新しいテーマパークが特集されている

 

クライアントの机の上には

見覚えのある入場チケットが置かれている

 

あまりにも

残酷だろ

 

 

初めて泣いた

 

いや、

泣いたことは何度もあるが、

 

厳密には

目を見開いたまま

涙を流したこと

 

という方が適切か

 

しかし、

クライアントの目の前はヤバいな…

これはヤバい

 

花粉症(ではないが)なんですよ!(笑(ずずるっ

 

とごまかしたが、どうかな、、、

 

どうした…俺…

 

 

 

ほんと情けな

 

一生分泣いて

涙枯らして

二度と

 

 

 

 

 

 

 

 

 

余談だが

商談はちゃんと成立させた

 

ずるした気がするな…

 

 

なんだ

 

この

 

モヤモヤ